遠国へ

京王デパート・ギャラリーらーる
1995年6月23日〜29日

　昨年1年間集中的に展開してきたシリーズ「反転するPLANET」における赤と青の絵画は、いわば自らの極北、真夜の世界を象徴するものである。無論、この世界を更に発展させ、新たなるテーマのもとに発表したいとは思っている。だが、この極北、かなりの消耗を強いるものであり、色彩もストイックにこだわり制限してきたので、今はいささか寝かせて暖めていたい気分になっている。

　つまり、私の内にはそろそろ癒しを求めて色彩の解放を求める声がわき起こっている。それは、夜のもたらすひとつの死から真昼の太陽の輝きのもたらすひとつの生への帰還を促すものなのであろうか。遠国とは、瞼の奥、わづか一枚の透けた皮膚の奥、へと交わり映じてくる内なるひとつの死を経て隣接したひとつの生への思いなのである。それゆえそれは私達に「生きる
喜び」を与えてくれた代絵画へと逆照射するオマージュと連なり重なり、更に南へと向かっていく事であろう。